「おおさか・臨地実習にかかわる教員と臨床指導者FD研修プロジェクト」

 2024年度に採択頂きました本プロジェクトの経緯、目的、事業の内容、結果について簡単に報告します。

1.プロジェクトの経緯


プロジェクトの発案の母体は、2021年に発足した「大阪府看護系大学協議会」です。2020年の新型コロナウイルス流行により、教育活動、特に臨地実習に大きな影響が生じたことを契機に、大阪府下の看護系大学が連携し、看護教育の質向上を目指すことを目的とし、協議会が発足しました。2024年は、看護学教育モデル・コア・カリキュラムの改訂、コンピテンシー基盤型教育への転換などの背景から、教員と臨床指導者が協働して臨地実習のあり方を模索することが共通の課題でした。そこで、教員と臨床指導者が臨地実習に関する課題を協議する場を開催したいと考え、地区活動プロジェクトに応募しました。

2.プロジェクトの目的


 大阪府下にある看護系大学の教員及び臨床指導者を対象に、より質の高い臨地実習を実現するために臨地実習にかかるFD研修会を開催し、地域全体の看護基礎教育の質向上の一助とすることを目的としました。

3.事業内容


 事業として、以下の2つの研修会を実施しました。
1)研修会Ⅰ「コンピテンシー基盤型教育における臨地実習の考え方」
 本研修会は、2026年度より実施予定の看護学教育モデル・コア・カリキュラムを鑑み、コンテンツ基盤型教育からコンピテンシー基盤型教育への転換について、共通理解をすることをねらいとしました。2024年12月26日(木)16:00~18:00に、大阪府看護系大学協議会の会員校の教員を対象に、ZOOMによるオンライン(後日アーカイブ配信)研修として、東京医療保健大学医療保健学部看護学科の教授、西村礼子先生の講演を実施しました。
2)研修会Ⅱ「おおさか・臨地実習にかかわる指導者と教員のFD 研修会」
 本研修会は、臨地実習にかかわる教員と臨床指導者が、臨地実習指導に関するさまざまな課題を共有・議論し、よりよい臨地実習のあり方を考える機会をすることをねらいとしました。2025年3月10日(月)14:00~17:00に、大阪府看護系大学協議会の会員校の教員及び関係する実習施設の指導者を対象に、「臨地実習に関するワーク・セッション~課題の共有解決の一歩~」をテーマに、教員と臨床指導者の混合グループでのグループワークを行いました。

4.結果


1)研修会Ⅰ「コンピテンシー基盤型教育における臨地実習の考え方」
 当日の参加者180名、アーカイブ参加者54名の計234名の参加者でした。研修会後アンケートの回答数は126件、回答率は58.3%でした。
 「研修会の満足度」は、非常に満足(33.9%)、満足(49.6%)、普通(15.0%)、やや不満(1.6%)でした。また、「研修会が今後の臨地実習を考えるうえで役立つと思うか」については、とても役立つと思う(62.2%)、まあ役立つと思う(33.9%)、あまり役立たないと思う(3.1%)、役立たないと思う(0.8%)でした。
   自由回答では、「タイムリーな話題提供であり、学びになりました」「教育と臨床の継ぎ目が明確になった」「実践例が豊富で理解が深まった」など、テーマへの理解について肯定的な意見が多く寄せられました。「学生の多様性や合理的配慮の必要性」「臨床との共通言語の重要性」など、次の研修会に繋がる意見もありました。
2)研修会Ⅱ「臨地実習に関するワーク・セッション~課題の共有と解決の一歩~」
  研修会は、対面によるグループワークを実施し、臨床指導者56名と教員99名、計155名の参加者が、20グループに分かれて活発な意見交換を行いました。
   研修会後アンケートの回答数は、126件、回答率81.3%でした。「実習に関する課題について実習施設と大学で共有できたか」には、できた(77.0%)、まあまあできた(23.0%)でした。「普段交流のない立場の人と意見を交わせたことが新鮮だった」「共通言語の必要性を再認識した」との意見がありました。また、「今後の実習指導の課題解決に役立つものであったか」には、思う(70.6%)、まあまあ思う(28.6%)、あまり思わない(0.8%)の回答でした。自由記述では、「臨床指導者の本音を聞けた」「学生指導に対する悩みや工夫を共有できた」「患者ファーストと学生ファーストの視点を理解し合えた」などの意見がありまた。

本プロジェクトは、臨地実習にかかわる教員と臨床指導者が、FD研修会を通じて、地域全体で臨地実習のあり方を見直し、看護基礎教育の質向上に向けた共通認識を育む貴重な機会となりました。研修会の参加者から、「さまざまな大学の考え方や現状などの情報共有からヒントをいただき、大学が抱えている問題の解決につながる」「これからの教育に必要な内容が盛り込まれている」など、プロジェクトの意義について共感する声もありました。
2024年度地区活動プロジェクトに採択頂き、地域全体で、教員と臨床指導者と顔のみえる議論ができたこととを心より感謝申し上げます。