保健医療福祉系大学のメンタルヘルス不調休学者に対する復学支援プログラムの開発に向けた活動

【協働会員校】

 帝京大学(福岡医療技術学部)
 九州看護福祉大学

 

【趣 旨】

 保健医療福祉大学に在籍し、精神疾患や大学への不適応、学習意欲の低下などのいわゆるメンタル不調により休学している者及び休学経験者を対象に、復学に対する不安と支援ニーズを明らかにすることを目的としました。
 休学している者及び休学経験者は大学全体から見ると少人数であり、2大学間で協働することで、対象者数も多くなることが期待されます。また、大学間で情報を共有しながら、復学支援プログラムの作成を目指したプロジェクト活動を進めることで、よりメンタル不調に陥りやすい学生の傾向を把握しやすくなる上、エビデンスも強化されることが期待されることから、本プロジェクトへの応募に至りました。

【主な協働活動と成果】

 2025年8月より毎月、計9回の対面もしくはオンラインでのミーティングを行ないました。定期的なミーティングを通して、インタビューガイドの作成や手続きの標準化、復学支援に関する勉強会を実施しました。進捗状況の管理と相互フィードバックも行い、活動全体の一貫性を保持するよう努めました。
 協働活動期間中に2名の休学経験者への半構造化面接(インタビュー)及び質問紙による心理テストを実施しました。インタビューからは、休学を経験した学生が教員に自分から相談したり、自分から保健管理センターに出向いたりすることはかなりハードルが高く感じられ、躊躇してしまうことがうかがえました。
 日頃から、かしこまった相談ではなく雑談ができるような場を設け、学生が教員とコミュニケーションをとる中で信頼関係を築いておく必要性が示唆されました。また、コミュニケーションが苦手な学生もいるため、面談のみだけでなく、Webシステム等を用いた相談についての希望もみられました。
 総じて「頼る」「相談する」ことへのハードルが少しでも下がるような支援を必要としていることが分かりました。
 また、実際に大学生の社会復帰支援を行なっている復学支援施設の見学、障害者支援に携わる支援者交流会・事例検討会への参加も行ないました。

【今後の展望】

 今回の助成金で、近年、課題となっているメンタル不調による休学者及び休学経験者の復学に対する不安と支援ニーズを、一部ではありますが把握することができたと考えています。
 メンタル不調による休学中もしくは休学経験者を対象とするため、各大学での倫理審査が必要となり、手続きに時間を要しましたが、必要な手続きを経たことで、学生への倫理的配慮も含めた慎重な対応ができました。
 休学中もしくは休学経験者の人数自体が少ないため、今回は2人のみのインタビューとなりましたが、今後も両大学間での連携体制は維持し、インタビュー件数を増やしてデータの蓄積と分析を重ね、更に信頼性を高めた上で、より効果的な学生支援や復学プログラムの開発につなげていきたいと考えています。
 本助成による協働活動によって、大学間での教員同士の交流が活発となりました。今後も両大学間での連携体制を維持することで、よりメンタルヘルスに関心を持つ教員を増やすことにもつながり、広い意味での人材育成にもつながることが期待できると考えています。また、学生の社会復帰を実際に行っている施設との連携にもつながり、より良い復学支援や復学プログラムについて模索できる環境を整えることができました。