福岡女学院看護大学 看護学部

本学では、シミュレーション教育を中核に据え、看護教育の質向上と実践力強化に取り組んでいます。2016年にシミュレーション教育センターを設立し、2017年には英語による医療コミュニケーションや異文化理解を扱う「多言語医療支援コース」を開設、さらに2020年にはOSCE(客観的臨床能力試験)の実施を開始するなど、実践的な学習環境と評価方法の整備を進めてきました。こうした取り組みを通じて、本学は看護シミュレーション教育と異文化理解教育の両面から、時代の要請に応える看護人材の育成に努めています。
 このような背景のもと、2024年度には日本私立看護系大学協会の助成を受け、シミュレーション教育に優れた香港都会大学(HKMU)との国際交流活動を実施しました。本事業は、最先端の教育技術に触れつつ、学生・教員が異文化の中で看護を学び合うことを目的としたものです。
 2025年3月には、本学教員と大学院生がHKMUを訪問し、両大学の看護教育や医療制度に関する情報交換を行いました。さらに、VRやARを活用したシミュレーション施設、東洋医学を取り入れた教育ユニット、脳神経理学研究室などを視察し、看護教育における最新の取り組みを直接体験しました。また、香港のQueen Elizabeth Hospitalに設置された多職種シミュレーションセンター(MDSSC)も見学し、現任教育や技術開発におけるシミュレーション活用の先進的な実例を学ぶことができました。
 同時期には、本学学生11名がHKMU短期留学プログラムに参加しました。学生たちは施設見学やシミュレーション体験、現地学生とのディスカッションを通じて、異文化間における看護の考え方を学びました。また、日本の看護や医療制度について英語で発表する機会もあり、自らの学びを振り返るとともに語学力向上への意欲を高めました。2023年に本学を訪問したHKMU学生との再会も果たし、継続した交流の大切さを実感する機会ともなりました。
 本事業を通じて、学生は国際的な視野を広げ、教員は教育手法や研究協力の可能性について新たな知見を得ることができました。特に、シミュレーション教育やVR技術を取り入れたカリキュラムの展開に向けて、多くの示唆を得られたことは大きな成果です。
 今後は、2025年秋に予定されているHKMUの学生・教員の来日交流をはじめ、双方向の活動をさらに発展させる予定です。本学としても、国際共同研究や教育手法の共有を進め、看護教育における国際的な連携を一層強化してまいります。
 本活動にあたり、貴重な機会を与えてくださった日本私立看護系大学協会に心より感謝申し上げます。