人間環境大学 松山看護学部
令和7年度モンゴル国立医科大学看護学部・人間環境大学松山看護学部 国際交流事業報告
本事業は、一般社団法人日本私立看護系大学協会の2025年度「新規に国際交流活動を行うための助成事業」の支援を受け、モンゴル国立医科大学看護学部との教育・学術的国際交流を新規に実施したものである。モンゴルにおいては本年度、公衆衛生看護学学士課程の第1期生が初めて卒業する節目の年であり、日本とモンゴルの看護教育および公衆衛生看護活動の実際を共有できた意義は極めて大きい。特に、日本における人中心(Person-centered)の理念に基づく看護教育および実践体制は、モンゴルの社会的・文化的背景や保健医療体制に応じた教育展開への新たな視点を提供する契機となった。
成果として、第一に2025年10月にモンゴル国立医科大学看護学部教員を招聘し、愛媛県内の保健医療・看護実践の視察を実施した。具体的には、砥部町保健センターにおける母子保健事業、産業保健分野としての企業視察、地域の在宅医療と訪問看護を2000年当初から推進している医療施設、さらに大学病院における地域連携および高度医療体制の見学を行った。これらの視察を通して、公衆衛生看護師が地域に根ざし、一次予防から生活支援まで包括的に関わる実践や、多職種連携による継続的支援体制への理解が深まった。特に、保健師が主体的に健康評価と保健指導を担い、家族との信頼関係を基盤に継続支援を行う実践は高く評価された。また、教員と学生の相互尊重や、体系的に整備された教育環境が確認され、日本の看護教育における教育と実践の有機的連動の強みが共有された 。
第二に、2025年10月に国際交流シンポジウム「日本とモンゴルにおける保健師・公衆衛生看護学教育の現状」を開催し、教職員・学生・地域関係者が参加する中で活発な議論が行われた。両国の母子保健データや教育制度の比較を通して、モンゴルにおける保健医療体制および看護教育の現状と課題が明確化されるとともに、日本の教育の強みを再認識する機会となった。また、モンゴルの実情に即した教育への応用・発展の必要性について共通認識を形成することができた。
第三に、2026年1月に両大学教員間における継続的な交流・協働の基盤が構築された点である。実際にMOUの締結に至り、今後の教育内容の改善や共同研究への発展可能性について具体的な協議が進められた。これにより、単発的な交流にとどまらず、中長期的な国際連携の枠組みが確立された。
今後の展望としては、教育カリキュラムの相互補完的発展が挙げられる。すでに本交流で得られた知見はモンゴル側の公衆衛生看護教育に反映され始めており、地域特性に応じた教育改善が進展している。また、教員および学生の相互訪問やオンライン交流を継続することで、双方向型の教育交流モデルの定着と教育の質向上が期待され、共同研究や学生交流も可能となった。
今後も本事業で構築された信頼関係を基盤とし、教育・研究・実践を統合した持続可能な国際協働体制の構築を目指し、両国における看護学の発展が期待される。

