会長挨拶

会長挨拶

 新型コロナウイルス感染症(以下コロナ)が流行して4年目の年を迎えました。コロナ株の変化に伴い、政府の感染予防対策が緩められる中で、今後の具体的な予防対策は、個人や所属する組織の判断に委ねられています。医療現場で実習を行う看護系大学においては、教育的判断を必要とする学内の感染予防対策と医療現場に出向くために必要な感染予防対策を考えることが必要とされます。コロナの流行が続いている中で、社会における人の動きは雪崩のごとく拡大しており、感染予防に対する意識を維持するのは容易ではありません。看護学を学ぶ学生には、感染症に対する基本的知識を踏まえ、自分の健康状態を敏感にキャッチすることや感染予防行動を身につける教育が行われていると思います。この教育が、「Withコロナ」における感染予防策として社会に貢献できることを期待いたします。

 さて、本協会は1976年に設立され、2009年に法人化しております。2018年より役員選挙制度を開始し、組織改革、委員会活動の多様化、看護系団体との連携活動を行ってまいりました。現在、会員校は192校207課程であり、四年制大学が182校、短期大学が10校となりました。看護系大学・学部の新規開設に伴い、会員校は増加しております。看護系大学の7割を私立大学が占め、看護学教育における私立大学の責任は重くなっており、本協会が果たす役割も大きくなっていると考えます。

 これまでの活動において看護系団体との連携が促進され、本協会が行うべき活動が焦点化されはじめております。しかし、会員校の特性は様々であり、本協会へ期待される活動は、多様であると思われます。定款における本協会の目的には「我が国の看護教育機関としての私立看護系大学の重要性に鑑み、私立看護系大学の教育・研究及び経営に関する研究調査並びに会員相互の連携と協力によって、私立看護系大学の振興を図り、その使命達成に寄与し、もって我が国の看護学教育・研究の進歩発展に貢献する」と明示されています。

 私立看護系大学がその使命を果たすために重要な課題は、経営の安定です。18歳人口減少の中で、私立看護系大学が生き抜いていくためには、時代の変化を見すえ、教育・研究・経営力を研き、魅力的な大学として自校の特性を社会にアピールできる対策を打ち出していく事が必要です。文部科学省はSociety5.0の実現をめざし、AIを活用するための人材育成をかかげており、様々な大学でイノベーションが進められています。看護学教育においてもAIを活用できる人材育成に取り組むことが求められています。

 本協会ではこれまでも各委員会で、会員校が将来に向けた取り組みができるようタイムリーな課題に対する研修会等を行ってまいりました。私立看護系大学が振興するためには、どのような取り組みをすべきか、会員校の皆様からご意見を伺いながら進んでまいりたいと存じます。

 どうぞご協力いただきたく、よろしくお願い申し上げます。

一般社団法人日本私立看護系大学協会
会長 島袋 香子